Sunday, May 27, 2007

Judicial Reviewの結果

 Remedy UK vs 保健相のJudicial Reviewの判決が、23日に出された。

 Medical Training Application System(MTAS)のReview Groupの修正案(応募者全員が第1志望ポストの面接を受けることができる)の違法性を問うたJudicial Reviewの判決は、Remedy UKの敗訴であった。

 ラウンド1の結果がもうじき発表されることになっており、時間的な制約があることから、Remedy UKは控訴しない方針であり、判決は確定した。

 結果はRemedy UKの全面敗訴であったものの、裁判官は判決の中で、保健相が、MTASを準備不足のまま拙速に導入し、結果として大混乱を引き起こしたことを指摘し、違法ではないからといって、研修医たちにとって不公平でないわけではないと言っている。法の限界を暗に認めたわけだ。

 保健相のPatricia Hewittは、Judicial Reviewでは勝訴したものの、裁判の始まる前日にMTASを棚上げすることを決め、判決の翌日には、ラウンド2ではこれまでに準備されていたポストに加えて、新たに200のポストを加えることを発表するなど、それまでの強気の方針を変換せざるを得なくなっている。

 Remedy UKは、判決後の声明の中で、これまでの多方面からのサポートに感謝すると同時に、これからも医師のサポート組織としての活動を続けていくと宣言しており、場合によっては「組合」として機能することを示唆している。

 Remedy UKの動きは、BMAにとっては脅威に違いない。BMAはこれまで、「唯一」の医師の組合として存在してきた。しかし、MMC / MTASをめぐる不手際で、BMAに対する医師の信頼は、かつてないほど地に墜ちつつある。とくに、研修医のBMAへの不信感は強まるばかりである。今回のJudicial Reviewと、BMAの前議長のMr James Johnsonの新聞への投書は、何百、何千ものBMA会員の退会を引き起こしたと聞く。

 2つ目の医師組合。別に悪いことではあるまい。医師全体がひとつの組合のもと、団結行動できればそれにこしたことはないが、医師といってもいろいろあり、それぞれの利害が必ずしも一致せず、調整がうまくいかないことも少なくない。BMAがそれをうまく采配する機能を果たしてない昨今、新たな組合が登場し、競合が生ずれば、少なくともBMAの自浄作用を期待できるかもしれない。もちろん、両刃の剣であることは間違いないが。

 BMAが気がつかなければいけないのは、医師たちが、自分たちの声が届いている、自分たちの代表が自分たちの利益のために活動していると感じたからこそ、Remedy UKがここまで支持を得たということである。メディアの使い方も、BMAよりもずっとうまい。ウェブサイトはBMAのサイトよりずっと洗練されているし、プレス・リリースも、医師たちの共感を得られる内容である。

 研修医4人とそのうち1人の妻の5人で立ち上げた小さなグループが、仲間の支持を集めながら大きくなり、今ではスポンサー付きのロビー団体になった。自分たちに必要な利益保護団体がなければ作ってしまうというのは、さすが労働運動の国イギリスであろうか。

 この先Remedy UKがどのように発展していくのか、それとも支持を失ってしまうのか。MMC / MTASの推移ともども、見守っていきたい。

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