Wednesday, May 30, 2007

日本語訛り考–英語の発音5

 発音クラスのstage 1を始めたばかりの頃は、発音を訓練すれば、日本語訛り(ここでは「アクセント」の意味で使う)がなくなるのではないかという淡い期待を抱いていた。

 しかし、私のそんな期待は、すぐに砕かれた。発音はそんな簡単に矯正できない。それに、発音そのものは、訛り/アクセントのごく一部でしかない。「訛り」のなかには、発音だけでなく、文章の強弱や抑揚なども含まれる。

 それから5年あまり。今、日本語訛りのない、native speakerと同じような「きちんとした発音」で話したいかと聞かれたら、「相手に理解してもらえるよう、正確な発音に近づくように努力は続けるけれど、native speakerのように話せるようになるのが目標ではない」と答える。

 だいたい、「標準発音」など、もはやあまり存在価値がない。前にも書いたように、イギリスでは、生まれ育った環境で習得したアクセントを尊重する傾向が、どんどん強まっている。最近もっとも好ましいと受け取られるアクセントは、標準アクセントではなく、スコットランド訛りだそうである。

 また、英語が国際公用語の地位を動かぬものにした今、さまざまなアクセントの英語が話されており、外国人が英語を話す以上、アクセントはあるものだという認識が、誰にでもある。いい例が、インド人やアフリカ人、西インド諸島の人たちのアクセントである。彼らの英語には強いアクセントがあるが、慣れると、そのアクセントを聞き分けることができるようになる。(インド人は、出身地により、英語のアクセントも違う。私も、インド南部と中央部のアクセントの違いは、多少聞き分けられる。)

 ある友人は、観光でオーストラリアに行った際、オーストラリア人が彼の日本語英語を、びっくりするくらい「わかってくれる」ことに驚いたと言っていた。アメリカ人やイギリス人はわかってくれなかったと。オーストラリア人は、日本人の観光客と触れる機会が多い上、日本語の文法を知っている人が多いため、ジャパングリッシュが理解できるのではないかというのが、彼の解釈であった。

 そう、日本人は、「native speakerのように」などという無駄な幻想を捨て、日本語訛りの英語を堂々と話すべきだと思う。日本語訛りの英語がちまたにあふれ、その特徴が他の人たちに「認識」されれば、相手のほうがそれに合わせて聞き分けてくれるようになるからである。

 ただし、ひとつだけ、心がけたほうがいいことがある。日本語を話す時と同じような、小さな声で抑揚なく英語を話すと、まず、まったく通じないのだ。

 日本人のみなさん。相手をまっすぐ見て、大きな声で、顔の表情や身振りを豊かに、堂々と日本語訛りの英語を使いましょう。恥ずかしいと思うのはほんの一瞬で、すぐに慣れるのは、私が保証します。そして、しばらく続けると、必ず通じます。

4 comments:

ukmari said...

確かにイギリスでは(アメリカでもそうかもしれないけれど)違うアクセントが多くて、ネイティブの発音っていっても、一体何をさすのか分かりませんよね。 私はイギリスに来たころは日本での英語教育の影響で思いっきりアメリカン(LA訛りかな?)でしたが、気づいたらコックニーになっていました(笑)

Nozomi said...

そういえば、サンフランシスコで友人の結婚式に参加したとき、私が口を開くたびに、アメリカ人から「イギリス英語だ!」と、不思議な生き物を見ているかのような口調で言われたことを思い出しました。私の場合は、イギリス英語のRP(Received Pronunciation)といっても 、南ロンドンのアクセントがまじっているかもしれませんが。コックニーといい勝負でしょうか。

楓 said...

はじめまして。カナダで仕事をする日本人です。

アメリカに4年間住んだら、インド人やフィリピン人のアクセントを聞き取れるようになりました。その後、カナダに移ったときはまさか英語で苦労するとは予想しなかったのですが・・・南アフリカ人の上司とイギリス人の同僚のアクセントが聞き取れませんでした。さらにクリケットの話で盛り上がられた日には、ちょっぴり疎外感を感じたりして。
最近は仕事でオタワに電話することが増えて、フランス語訛りの英語でまくし立てられて困っています。

でも聞き取りに苦労する分、「私の日本語訛りの英語もこうやってみんなにきいてもらっているんだ。」と気がつきます。まわりの人々に感謝しています。

Nozomi said...

そうですね、感謝の気持ちは大事ですよね。私は最近ではずいぶんとずうずうしくなって、(あなたたちは)native speakerなんだから、私のジャパングリッシュ をちゃんと理解できるよねと、開き直り気味です。ちょっと反省します。

それにしても、クリケットって、どこがおもしろいんでしょうね。私の同僚の14歳の息子は、クリケットの試合が見たいがために(サッカーやプロバスケじゃなくて!)ケーブルTVを入れてくれるよう、父親(同僚)に頼みに頼んで、結局、同僚が根負けしてSky TVを契約していました。また、私の部下がまだ妊娠中のこと。夫(2人とも南アフリカ出身)は、超音波検査とクリケットの大事な試合が重なったので、仕事を休んで家でゲームが見られると、喜んでいたそうです。