Friday, May 11, 2007

秘書さんはアクトレス

 今日、新しい秘書さんが来た。私の仕事に関する事務業務を主にやってくれる、medical secretary(医療秘書)である。

 うちのトラストSLaM では、すべてのコンサルタントに0.5人分の医療秘書がつくことになっている。コンサルタント2人で1人の秘書ということになる。また、コンサルタントは、個室のオフィスを使えることになっている。これらは、コンサルタントが本来の業務に専念するために必要な、快適な職場環境や事務的補助を提供するという、「新契約制度」に組み込まれている条件を満たすためのものである。

 昨年、今の仕事を始めた直後は、私には秘書がいなかった。産休中だったのである。1ヶ月後、彼女は産休から復帰した。しかし、1週間後、日中に子どもの世話を頼んでいる人の親戚が亡くなり、その人が戻るまでの3週間、子どもの世話をするために3週間の年休を取った。年休が終わる直前、息子が重病にかかっていることがわかり、介護休暇をとった。そして、そのまま続けてストレスによる抑うつ状態で長期の病欠に入ってしまった。そんなこんなで、私専用の秘書さんはずっと不在だった。チームの秘書さんや、リハビリテーション部門の中の他のチームの秘書さんがカバーしてくれたのだが、十分ではなかった。

 秘書や受付などの事務スタッフは、Centre Co-ordinatorと呼ばれる、各建物に配置されている、シニアの事務スタッフが管理する。欠員があれば、臨時職員を手配するのも、Centre Co-ordinatorの仕事である。

 ところが、私と、秘書ポストをシェアするもうひとりのコンサルタントが別の建物で仕事をしているため、このポストは2人のCentre Co-ordinatorの下にあって管理系統が複雑である。その上、1人は産休と育休、もう1人は欠員でどちらも不在という、どうにもならない状況になっており、誰も私の秘書の手配はしてくれなかったのである。

 誰もしてくれなければ自分で強行突破するしかないというのは、NHSで生き抜くための基本である。ようやく重い腰を上げ、私は自分で臨時職員の申し込み用紙を書いて、手配を始めた。

 待つこと2週間。私の都合のいい曜日に来てくれる人が見つかり、さっそく、この金曜から来てもらうことにした。ここまですべて電話連絡のみ。私は彼女の名前しか聞いていなかった。

 そして今日。時間通りに彼女はやって来た。(よかった、来てくれて、と、ほっとした。)若くてきれいで、感じのいい女性である。

 秘書さんの机は、長いこと誰も使っていなかったので、物置と化していた。「悪いけど、机の片付けが最初の仕事になるね」などと言いながら、建物の中を案内したり、大雑把な仕事の内容を伝えたりした。

 で、次の質問。ここに来ない時はどうしてるのか、聞いてみた。「I'm an actress.」なんと、国際映画祭に出品するショート・フィルムの撮影に参加しているという。そう、私の秘書さんは、俳優さんでもあるのだ。

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