tag:blogger.com,1999:blog-115756712024-03-05T09:06:27.908+00:00a legal alien in londonNozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.comBlogger149125tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-6866297812384862222010-01-03T20:39:00.005+00:002010-01-03T21:13:19.251+00:00No more cardboard boxes!10月25日に今のフラットに引っ越してはやくも2ヶ月ちょっとが過ぎた。今日、最後の段ボール箱を開けた。まだ完全に片付いたわけではないけれど、ほとんどのものが指定席におさまったので、ようやくこのフラットが我が家のような気分になった。<p>
Halifaxが2009年のFirst-time buyer(はじめて不動産を買う人)についてのレポートを発表し、関連記事がBBCとGuardianに載っていた。同じ情報にもとづいた記事なのに、視点がまったく違う(BBC-"<a href="http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/8438179.stm">'More areas' affordable for first-time buyers</a>" ;Guardian-"<a href="http://www.guardian.co.uk/society/2010/jan/03/first-time-home-buyers">First-time home buyers at record low</a>")。<p>
不動産に関する記事なんて、以前はあまり気にも留めなかったのだけれど、いざ自分がFirst-time buyerになってみると、なんとなく気になるのがおかしい。<p>
3日後に締め切りの原稿に取りかかったのはいいけれど、なかなか集中できない。ふだんは苦手な整理整頓ですら、原稿を書くよりは気が楽で、新年の三連休に一気に家の中が片付いてしまったという次第。Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-16940758083704934182010-01-01T11:19:00.012+00:002010-01-01T12:09:39.122+00:00Happy New Year 2010<a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjEZYGMRoo2LPHcsWInhCYORV9L0sJto2mDVoOlepQAu8ZA_lFUH6edNSePxvR6vFnx2It453ikfBGTY5DGfX5WAsTHN3tmR6oVTG3Ehbe1FJbgvgIeoN7xqLExOTdXnbnK3bQNmQ/s1600-h/2010nenga2_small.jpg"><img style="margin: 0px auto 10px; display: block; text-align: center; cursor: pointer; width: 270px; height: 400px;" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjEZYGMRoo2LPHcsWInhCYORV9L0sJto2mDVoOlepQAu8ZA_lFUH6edNSePxvR6vFnx2It453ikfBGTY5DGfX5WAsTHN3tmR6oVTG3Ehbe1FJbgvgIeoN7xqLExOTdXnbnK3bQNmQ/s400/2010nenga2_small.jpg" alt="" id="BLOGGER_PHOTO_ID_5421736420810253186" border="0" /></a><div></div><p>
</p><div style="text-align: right;"><span style="font-size:85%;"><a href="http://www.loftwork.com/user/12363/">やんとと @ loftwork</a></span></div><p>
What we call the beginning is often the end</p><p>
And to make and end is to make a beginning.</p><p>
The end is where we start from. And every phrase</p><p>
And sentence that is right (where every word is at home,</p><p>
Taking its place to support the others,</p><p>
The word neither diffident nor ostentatious,</p><p>
An easy commerce of the old and the new,</p><p>
The common word exact without vulgarity,</p><p>
The formal word precise but not pedantic,</p><p>
The complete consort dancing together)</p><p>
Every phrase and every sentence is an end and a beginning,</p><p>
Every poem an epitaph. And any action</p><p>
Is a step to the block, to the fire, down the sea's throat</p><p>
Or to an illegible stone: and that is where we start.</p><p>
<span style="font-size:85%;">Little Gidding, TS Eliot</span></p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-88177731445229258182009-08-11T22:03:00.004+01:002009-08-11T22:11:35.590+01:00Schizo the Movie time to changeの夏のキャンペーン用に作られたヴィデオ・クリップのひとつ。YahooやMSN、メジャーな新聞のウェブサイトで流されるそうである。<p>
<object width="425" height="344"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/J-JVBO7nLv0&hl=en&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/J-JVBO7nLv0&hl=en&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="425" height="344"></embed></object><p>
さらに詳しく知りたい方は、<a href="http://www.time-to-change.org.uk/online-films">こちら</a>を。Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-6158755687959987472009-08-02T22:57:00.004+01:002009-08-02T23:17:03.370+01:00Time to Change Time to Changeは、精神疾患あるいは精神疾患をもつ人に対する偏見(スティグマ)に対する意識を改めようとするキャンペーン。<p>
<object width="480" height="295"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/Vo2ie5eJ0ag&hl=en&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/Vo2ie5eJ0ag&hl=en&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="480" height="295"></embed></object><p>
キャンペーンの<a href="http://www.time-to-change.org.uk/home/">ホームページ</a>や、youtubeの<a href="http://www.youtube.com/user/ttcnow2008">Time to Change You Tube channel</a>に、ほかにもたくさん情報やビデオが載っている。</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-13325520845182575392009-05-04T17:39:00.003+01:002009-05-04T17:54:04.036+01:00法的に正しい働きかた 海の向こうでは、医師と労働基準法をめぐっていろいろとあるようだ。 一連の報道の中で「医師が法的に正しく働いた場合」という議員だか誰かの発言を見て、なんとなくつぼにはまってしまった。<p>
みんながゴールデンウィークで、高速を使って遊びに行っている間も、日本のお医者さんたちは身を粉にして働いているのだろうか。</p><p>
海のこちら側で私は、3月末から1-2週おきにLong weekendとなっているので、なんとなく休暇の合間に仕事をしているような気分になっている。</p><p>
はじまりは3月末の6連休。2008年度の年度末になっていきなり、年休を持ち越してはいけないというService Directorからのお達しがきたものだから、残っていた5日間(2007年度までは許されていた最大持ち越し日数)を使い切らなければならなくなった。この時期はかなりの人が駆け込みで年休を消化するので、どこも人が少なく、職場は閑散としている。</p><p>
新年度になって最初の週は、予定どおり4月3日に年休をとり、3日間、ブリュッセルのタンゴ・フェスティバルに出かけた。その翌週は復活祭で、 金曜から翌週の月曜までのlong weekend。そして、今日はMay Dayでお休み。5月はもう1回Bank Holidayがある(最終月曜はSpring Holiday)ため、また休みになる。</p><p>
こんなに休んでばかりいて仕事はどうなっているのだと心配される方もいるだろうが、これでもなんとかなってしまうのである。私がいない間、誰が私の代わりを果たすのかさえきちんと手配しておけば、それですむ。具体的には、コンサルタントの同僚のひとりが、私に代わって、法的に定められたコンサルタントでなければできない業務をやってくれ、一般の臨床業務は、チームの精神科医がカバーしてくれる。書類仕事だけは、残念ながら誰も代わってくれないので、時間をやりくりしてどこかで片付けなければいけない。</p><p>
よほどの緊急事態でなければ、休み中に呼ばれることはない。日本で仕事をしていた時の感覚からいうと、「超」のつくほどの緊急性がないと、呼ばれないと思う。実際、これまでに休暇中に呼び出されたことはない。</p><p>
休暇の際は、必要であれば患者さんにも留守であることは伝える。「けしからん」という反応を受けたことは、一度もない。ただ、状況に応じて言葉の使い方には気をつけているが。「holidayにいく」とは言わず、「留守にする(I will be away)」とか「休暇でいない(I will be on leave)」ということが多い。もっともこれは、私自身の気分の問題でしかないのだけれど。
</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-27839259414569240142009-01-01T17:51:00.005+00:002009-01-03T11:08:15.272+00:00あけましておめでとうございます<a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhhj7OjuIuz5dO8NiYtJ_rc40T9hw1vPm-gTAV_7ZbPNHu_bqnYjquRaxGp3lZyYwNv1MdE5ZewbxxVgYh1SsYWG8r3GR3NLPsBO-cqx_uahNKa7Vf6l6VbRduNwJvfBsFm0tYOuA/s1600-h/2009NewYear_Chizuwa.jpg"><img style="margin: 0px auto 10px; display: block; text-align: center; cursor: pointer; width: 250px; height: 370px;" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhhj7OjuIuz5dO8NiYtJ_rc40T9hw1vPm-gTAV_7ZbPNHu_bqnYjquRaxGp3lZyYwNv1MdE5ZewbxxVgYh1SsYWG8r3GR3NLPsBO-cqx_uahNKa7Vf6l6VbRduNwJvfBsFm0tYOuA/s400/2009NewYear_Chizuwa.jpg" alt="" id="BLOGGER_PHOTO_ID_5286755874723499666" border="0" /></a><p>
</p><div style="text-align: right;">download via <a href="http://www.loftwork.com/user/3051/">loftwork</a></div><p>
<a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="http://www006.upp.so-net.ne.jp/m-chizuwa/"><img style="margin: 0pt 0pt 10px 10px; float: right; cursor: pointer; width: 88px; height: 32px;" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhWWnqHYxj846MzIgYpUj99pXOBxnX8b2vy_K-lU7X3JQNIyCznsxZ4JORrvIw5kG0BViDrU_3Phy5knZsQUbhjG_yLyt3GNKUamiHjsFW31MD8zyLtUDzujywKaZ_zysHhZTk2Lg/s320/chiswa_banner_s.gif" alt="" id="BLOGGER_PHOTO_ID_5286760792874613058" border="0" /></a></p><p></p><p>
2008年は、ほんとうに忙しい年でした。</p><p>
仕事の面では、2007年の秋から冬にかけて、本来の業務に上乗せする形で、新たに3つの仕事が増えました。仕事の内容はそれぞれ興味深く、新たに学ぶことが多く、私自身の精神科医としての仕事の幅がおおいに広がりました。いっぽうで、4つの異なる仕事をかけもちすることによって派生する、時間と役割面での問題に悩まされることになりました。量的、質的に妥協しなくてはならない場面に遭遇し、忸怩たる思いに沈むことも多かったように思います 。</p><p>
NHSをめぐる財政面でのプレッシャーは、依然として続いています。二次医療である精神保健チームにくる患者たちの臨床・社会福祉ニーズは高まっています。にもかかわらず、政府や保健省、社会福祉の関連機関は一貫して、「(精神疾患をもつ人を)より自立した生活へ移行させる」路線を突き進んでいます。人権や倫理の面でサービスに要求される水準はどんどん高くなっています。これらの枠組みのもと、かぎられたリソースで、臨床家としてのスタンダードを保ちながら、患者たち自身あるいは社会へのリスク・マネジメントをおこなわなければならないという、なかなかチャレンジングな状況の中に日々さらされました。患者を「治療」しているのではなく、目の前の危機やリスクに対応するのが精一杯という時期もあり、仕事に対する意欲を維持するのは、たやすいことではありませんでした。</p><p>
そんな状況での救いは、愚痴を言いあえる同僚たちとの関わりでした。とりわけ、このシステムの中で20年以上も生き抜いてきた古株のスタッフたちの、達観し、淡々と仕事をこなしていく態度は、感心することしきりでした。また、ごくまれに、患者さんからかけられる感謝の言葉には、感動しました。</p><p>
仕事から離れても、忙しい1年でした。1月から始めたGyrotonicのトレーニングは、2月にファウンデーション・トレーニング、7月に中間レヴュー、そして、10月に認定コースを受け、晴れて、認定トレーナーになりました。ここに至るまで、認定に必要なレッスンに協力してくれた友人たちには、感謝でいっぱいです。また、自分でのトレーニングを続ける中、それまでできなかったことができるようになったり、動きの質が向上したりするのを感じ、40歳を超えてもまだまだいけると、ちょっと安心したりもしました。やはり私は、「肉体派」の人間で、からだを使うことで精神が安定するのだと、納得しました。</p><p>
2007年末から始めたアルゼンチンタンゴは、練習に励んだ甲斐があり、ミロンガ・デビューを果たし、中級レベルのレッスンに参加するまでになりました。ダンスそのものの魅力や奥の深さもさることながら、タンゴを通じて、たくさんの友人ができたことも、嬉しいことでした。</p><p>
仕事でも仕事以外でも、まったくまわりを見る余裕も、ふり返る余裕もなく、1年間、ただただ突っ走ってきました。ようやくふり返る余裕ができたのは、ほんの10日ほど前のこと、新年早々に予定されている講演の準備のため、産業衛生や職場のメンタルヘルスの文献を読んでいた時のことです。この1年間の私の活動ぶりは、セルフ・ケア、ストレス・マネジメントとしては、まったくお粗末なものでした。</p><p>
ともあれ、気づきは最初の一歩です。来年は、もう少し時間管理をうまくなり、自分のスケジュールも、ストレスも、もう少し上手に管理できるようになりたいものです。</p><p>
そうそう、昨年の新年の抱負は「仕事のある日は昼食を抜かない」でした。(しょぼい抱負ですが、立てた時は真剣だったのです。週のうち半分以上、昼食を食べ損ねていたのですから。)2日をのぞいて、きちんと達成しました。おめでとう。</p><p>
昨年1年間、まわりの方たちに、ほんとによく助けられ、励まされました。どうもありがとうございました。ブログを訪ねてくださった方たち、ありがとうございます。実のあるエントリーがほとんどできず、心苦しい思いです。ブログを書くのに割ける時間が捻出できるよう、自己管理が上達するのをお待ちください。</p><p>
新しい年が、みなさまにとって、明るく、幸多いものになりますように、心からお祈りいたします。
</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-3814495378749651002008-08-31T18:57:00.000+01:002008-08-31T19:18:42.588+01:00無罪確定にふと思ったこと 福島県立大野病院の裁判、加藤先生の無罪確定を聞き、心からほっとした。2年6ヶ月もの長い期間を乗り越えられた加藤先生と、先生を直接・間接に支えるネットワークを作り上げ、支え続けた人たちに、心からの賛辞を送りたい。<p>
いっぽうで、亡くなられた患者さんの家族の方たちにとっては、この判決がclosureのステップのひとつになるといいと思う。残された方たちが、患者さんの死を受けとめ乗り越えていくために不可欠な、時間と静かな環境が得られるよう、心から祈る。<p>
判決要旨は、私にはひじょうにまっとうなものに思えた。本来そうあるべきものが、そのとおりに認定されたということをありがたく思う状況に、複雑な思いがする。刑事の対象となるはずのない件が訴追されたわけで、判決でようやく針が振り出しに戻っただけである。ここからどこへ向かうのか、決めるのは医師ではないと思う。<p>
誰も口にしないので、あえて書くが、この裁判にどれくらいの税金が投入されたのだろうか。コスト意識が高い国に長く住んでいると、視点が少し変わってしまうらしい。似たようなことがイギリスで起こったとしたら、メディアはまちがいなく費用を明らかにすると思う。<p>
お金の話をするなんて・・・と眉をひそめる向きもあろうが、私は、費用の検討もされてしかるべきであると思う。とくに、訴追をした検察側が自らの主張を立証することすらできなかった裁判に、多額の税金が使われのだから。Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-86102598785670248422008-08-18T19:02:00.003+01:002008-08-18T21:33:31.751+01:00医療事故と警察の介入 某所で話題になった「<a href="http://www.dh.gov.uk/en/Publicationsandstatistics/Publications/PublicationsPolicyAndGuidance/DH_062975">Guidelines for the NHS: In support of the Memorandum of Understanding - Investigating patient safety incidents involving unexpected death or serious untoward harm</a>」であるが、私の印象としては、この協定および指針が発行された背景には、NHSに対する信頼回復のため、関係機関との連携を改善し、監視機能(お上による調査も含めて)を透明化・迅速化させようとする意図があるように思える。こういった動きは、NHSに限らず、イギリスのすべての公的機関で現在進行中である。また、組織として、サービスの対象となる人や雇用者たちに対するHealth & Safetyを守る責任(日本語では「安全衛生推進」というようです)が明確に定められたため、組織の責任を明確にするためには警察や他機関とのリエゾンが必要になるという事情もある。あるいは反対に、組織が、自身の責任を限定するために、警察による調査を要求するという面もあり得る。<p>
したがって、文書そのものは、必要があったら警察を呼びましょうと促しているわけで、警察の介入が減るとは思えない。むしろ、増えるのではないだろうか。<p>
さらに、NHSがIncident Coordination Group(ICG)を編成・運営するように定められているものの、警察やHealth & Safety ExecutiveがICGを設置するように要求することもできるため、必ずしも警察介入のルートが「統一」されるわけではない。NHSから直接警察に介入を要請することもできるし、ほかにも、患者やその家族が「苦情(complaint)」の形で警察に申し立てるルート、監察医から警察に連絡されるルート等、いろいろ考えられる。<p>
刑事訴追について調べていて一番わかりにくかったのは、医療事故が起こった時に、どの時点で、どのように警察が介入するのかという点であった。臨床部長を長く務めた同僚や、仕事でたまたま一緒になった民事専門の弁護士(barrister)などにも聞いてみたのだが、誰も知らない。残念ながら、刑事専門のbarristerにお目にかかる機会など、ない。<p>
そこで窮余の策として、<a href="http://www.medicalprotection.org/uk/">Medical Protection Society</a>のhelp lineに電話して、legal consultantに聞いてみた。実際の事例があるわけではないのに、なんでそんなことを知りたいのだと不思議そうだったが、日本では最近いろいろと議論があってと説明したら、きちんと対応してくれた。結局、上記にも書いたように、決まったルートがあるわけではなく、事例ごとに異なるということがわかっただけであったが。<p>
そこで、もうひとつ、気にかかってきたことを聞いてみた。「いろいろなルートで警察が介入する可能性があるなら、医師は、自分の診療行為が刑事訴追の対象にならないか、心配しなくていいのだろうか。」返ってきた答えは、「警察の介入は、あくまで調査・捜査が目的で、刑事訴追に直結するわけではない。故殺罪の訴追対象になるのは、過失がgrossでrecklessであるという条件を満たすケースだけで、ひじょうに稀である。」ということだった。<p>
Guidelineにもあるが、gross negligence manslaughterはfour-stage test(<a href="http://www.corporateaccountability.org/manslaughter/law/adomako.htm">the Adomako test</a>)を満たす必要がある。<p>
<ol><li>The existence of a duty of care to the deceased </li><li>A breach of that duty of care </li><li>Causing the death of the victim </li><li>Whether that duty should be characterised as gross negligence and therefore a crime </li></ol><p>
MPSのlegal consultantの話では、4番目の"gross"と"therefore a crime"という点が鍵となるような印象を受けた。<p>
翻って日本では、関係機関(とくにメディア)との間で、「duty of care」の定義の擦り合わせから始めなければいけないような気がする。<p>
Guidelineの中で私が一番感心したのは、media対応(Handling communications)についてきちんと明記されているところである。これこそ、日本の関連機関がまず参考にするべきことだと思うのだが。Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-66646742447276225632008-08-17T22:45:00.001+01:002008-08-18T21:03:35.294+01:00医療過誤と刑事訴追の是非 <a href="http://nozomiakanuma.blogspot.com/2008/04/blog-post_17.html">以前のエントリー</a>で述べたように、90年代に入ってから、gross negligence manslaughter(重大過失による故殺罪)により医師が起訴される例が増加している。この傾向に対し、Jon Holbrookというbarrister(法廷弁護士)が<a href="http://www.bmj.com/cgi/content/full/327/7424/1118">The criminalisation of fatal medical mistakes (BMJ 2003;327:1118-1119)</a>と題するeditorialをBMJに掲載し、重大な懸念を表明した。2003年11月のことである。<p>
この中でHolbrookは、刑事訴追の増加は、社会全体の医療過誤に対する意識の変化が根底にあると述べている。いかなる事故であっても「罪のない(innocent)事故」はあり得ず、必ず「責任者」がいるはずであるという不寛容(intolerant)である。また、訴訟そのものの増加にも触れている。</p><p>
Holbrookが例に挙げているのは、2001年に<a href="http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/3133076.stm">Nottinghamで起きた医療過誤事件</a>である。Nottingham Queen Mary Hospitalのspecialist registrar(後期研修医)であったDr Mulhemは、18歳のWayne Jowettに誤って抗がん剤のvincristineを脊髄に注入するようにsenior house officer(中期研修医)のDr Mortonに指示した。Dr MortonはDr Mulhemに2度確認した上で、指示に従い脊注した。その結果、Wayneは重篤な状態に陥り、1ヶ月後に亡くなった。Dr Mulhemは罪を認め、8ヶ月の禁固刑を言い渡されたが、すでに勾留された期間を相殺され、判決後釈放された。</p><p>
このeditorialに対して多くのreponseがつき、興味深い議論が繰り広げられた。多くはHolbrookの論調に同意し、明らかな医療過誤による死亡事例であっても、当事者の医師を刑事で処罰することに疑問を呈している。また、刑事罰は将来の医療過誤の防止効果はないと指摘している。</p><p>
似たような論調は、もっと最近のアメリカの事例に対する反応にもみられた。2006年7月に、WisconsinのSt Mary's Hospitalの産科看護師Julie Thaoが、麻酔薬のbupivacaineを誤って静注し、16歳の妊婦<a href="http://www.madison.com/archives/read.php?ref=/wsj/2006/11/03/0611030019.php">Jasmine Gantが亡くなったケース</a>である。静注に至るまでにはいくつものプロトコール違反があり、Thaoの行為はat-risk behaviorで、責められるべきであることは疑いのないところである。</p><p>
しかし、Wisconsinの地区検事が彼女をneglectとgreat bodily harmで起訴したことで、blog界隈でこの件に関する議論がわき起こった。Dr Wachterも、過誤に対する専門職業人としての処罰(免許停止または剥奪、解雇等)は当然であるが、刑事訴追に対しては疑義を呈している。結果として、Thaoが2件のmisdemeanorに関して争わない姿勢を示したため、neglectとgreat bodily harmによる起訴は取り下げられた。</p><p>
強調しておきたいのは、ここで取りあげたケースは、近年日本で刑事罰の是非について議論されているケースとはまったく異なることである。Dr Mulhemの事例もThao看護師の事例も、日本の医療者は明らかな「医療過誤」と表現するであろうし、現在進行中の問題の前には、おそらく議論の対象にならないのではないだろうか。そういった「過誤」事例であっても、個々の医療者を刑事訴追しても何の解決にならないのではないかと、英米では専門家たちが議論しているのである。</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com2tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-84200556928882841692008-04-27T21:32:00.000+01:002008-04-27T21:35:17.028+01:00分家 先日来、イギリスでの医師の刑事訴追の可能性について調べているのですが、なかなか資料が手に入らず手間取っていました。もたもたしている間に、他に書きたいことが出てきてしまいます。それがタンゴのことであったりすると、医学論文の引用記事の次に、突然タンゴの靴の写真が出てきてしまうことになり、刑事訴追の記事のつづきを期待してくださった人にとってみれば、あれっ?ということになります。反対に、Gyrotonicやタンゴを通じて知り合った人たちにとっては、medical manslaughterは、必ずしも身近な話題ではないはずです。<p>
来てくださる方が読みやすく、私自身が書き続けやすい環境を作るにはどうしたらいいだろうと考えて、ブログを棲み分けするのがよさそうだと思うにいたり、ふたつめのブログを立ち上げました。今後は、医療関係の記事をこちらの「a legal alien in london」に、Gyrotonicとタンゴに関しては新しいブログ「<a href="http://twisting-turning.blogspot.com/">twisting and turning</a>」に載せていくことにします。それ以外の記事は、まあ、適当にどちらかに載せます。これまでの記事は、こちらにそのまま残しておきます。</p><p>
右側のプロファイルの下にも、リンクを載せておきます。よろしかったら、一度お立ち寄りください。</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com2tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-53753624939631918712008-04-22T21:33:00.000+01:002008-04-22T22:24:55.343+01:00killer shoes 昨日、新しいタンゴ・シューズの履き初めをした。<p><a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgpSvnZed-Jo2IHCaMIwNIo22nLoF777CoUatX2osC9tTTn5Jyg0Vo1g9Ei9iwc26b4xriwykK6pBcSFghn2KDMPWuA5SqoKCgbdTDrQHHPXo7xqati-VTOVG9ZD71J-nQ7mHooLA/s1600-h/tango+shoe+2.jpg"><img style="margin: 0px auto 10px; display: block; text-align: center; cursor: pointer;" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgpSvnZed-Jo2IHCaMIwNIo22nLoF777CoUatX2osC9tTTn5Jyg0Vo1g9Ei9iwc26b4xriwykK6pBcSFghn2KDMPWuA5SqoKCgbdTDrQHHPXo7xqati-VTOVG9ZD71J-nQ7mHooLA/s320/tango+shoe+2.jpg" alt="" id="BLOGGER_PHOTO_ID_5192182806201919762" border="0" /></a><p>
ブエノスアイレスにあるタンゴシューズ専門店のcomme il fautのもので、黒のベルベット地に淡いピンクのリボンがついた、9cmのピンヒール。</p><p>
まだミロンガ(タンゴのサロン)デビューを果たせるほど上達していないので、これはもちろんお稽古用である。こんな素敵な靴をもったいないと思うが、サイズが小さいために7種類しか選択肢のない中で、ぴったり合うのがこれしかなかったのだ。</p><p>
9cmもあるピンヒールで果たしてまっすぐ立てるのかどうか、ひじょうに不安だった。しかし、さすがcomme il faut。ピンヒールと思えないほど重心が安定している。足底もしっかり支えてくれるので、今朝起きた時、足の裏が痛むこともなかった。</p><p>
あとは、練習に励むのみ!いい靴を履いて練習すると上達が早いだろうし。</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-65530544271933830792008-04-17T23:10:00.000+01:002008-04-17T23:26:04.452+01:00医師の刑事訴追 イギリスでは、医療関連死亡事故の当事者であった医師が刑事罰に問われることがあるか。答えはイエスである。<p>
日本でいう「業務上過失致死」と同義のイギリスの法律用語は見つからないのだが、私のあやふやな法律の知識とにわか勉強によると、gross negligence manslaughterが同じような意味合いになる。また、医療関連死という面を強調して「medical manslaughter」と呼ばれることもあるようである。</p><p>
1970年代と80年代には、4人の医師がmanslaughter(故殺罪)で起訴されている。90年代にはこれが一気に17人に増加した(<a href="http://www.bmj.com/cgi/content/full/321/7270/1212">Ferner 2000</a>)。2001-2002年の2年間で、さらに6人の医師が起訴された(<a href="http://www.bmj.com/cgi/content/full/325/7355/63">Dyer 2002</a>)。1990年に、Crown Prosecution Serviceが職務上のnegligenceによる死亡例をmanslaughterで訴追することを決定したため、主に医師が影響を受け、訴追数が増加したという(<a href="http://www.bmj.com/cgi/content/full/325/7355/63">Dyer 2002</a>)。</p><p>
しかし、起訴数が増えても、有罪になる医師の割合はあまり変わっていない。1795年から2005年までの間に、故殺罪で起訴された医師は85人(75件)いた(<a href="http://jrsm.rsmjournals.com/cgi/content/full/99/6/309">Ferner & McDowell, 2006</a>)。有罪となったのは、1795-1899年は28%、1900-2005年は30%であった。これは、一般の故殺罪の有罪率と比べると、圧倒的に低い。2001年には、故殺罪による起訴278件のうち238件(86%)が有罪になっている。(<a href="http://www.bmj.com/cgi/content/full/325/7355/63">Dyer 2002</a>)。(まだ、つづく)</p><p>
</p><ul><li>Dyer C. Doctors face trial for manslaughter as criminal charges against doctors continue to rise. BMJ 2002; 325: 63.</li><li>Ferner RE. Medication errors that have led to manslaughter charges. BMJ 2000; 321: 1212-1216.</li><li>Ferner & McDowell. Doctors charged with manslaughter in the course of medical practice, 1795-2005: a literature review. J R Soc Med 2006; 99: 309-314.</li></ul>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-82632732258497955152008-04-16T22:10:00.001+01:002008-04-17T23:10:11.965+01:00医療事故の原因究明と罰則 ここのところ、法律に頭を悩ませることが多い。また、事故調第三次試案に関するあちこちのブログを読んでいて、医師もlegal mind(またはlegal literacy)が必要だとつくづく感じる。ふと、イギリスの事故調と刑事訴追とはどういう風につながっているのだろうかと思い、検索してみた。<p>
原因究明に関する制度に関しては、以前に「<a href="http://nozomiakanuma.blogspot.com/2006/05/nhs.html">NHS苦情処理制度</a>」、「<a href="http://nozomiakanuma.blogspot.com/2006/05/blog-post.html">失敗から学ぼう</a>」の記事に書いている。記事を書いてから2年近く経っているが、大きな制度改訂はないので、今でもこのような流れで調査がなされているはずである。</p><p>
明らかなミスによる事故と判断された場合、当事者である医師は、研修や再教育、資格停止または剥奪等の専門職業人としてのペナルティや、停職または解雇等の雇用上のペナルティを受ける。さらに、外国籍の医師で、仕事のポストと滞在資格がリンクしている場合は、国外退去というペナルティもあり得る。</p><p>
それでも、医療事故で刑事責任を問われることは、Harold Shipmanなどの悪質な場合をのぞけばありえない、と思っていた。実際に、以前にも「<a href="http://nozomiakanuma.blogspot.com/2008/02/218.html">誠実な医療行為の結果をもとに刑事告訴されることはありえない環境</a>」と書いた。</p><p>
しかし、本当にそうなのだろうかと考えてみたらよくわからなくなってきたので、調べてみることにした。(つづく)</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-66432598340028500802008-04-14T23:28:00.000+01:002008-04-15T23:38:34.773+01:00Mental Capacity Act 2005 今日は、丸1日缶詰で、Mental Capacity Act 2005(MCA、成年後見法)の講習を受けてきた。MCAは昨年の10月からすでに施行されているのだが、細かい用語の変更等があり、なかなか頭の中が整理できず、実践上、立ち往生することが多々あった。今日の講習でようやく、これまでの種々の疑問が解決され、臨床で正しく運用できそうな自信がついてきた。<p>
精神科の日常臨床では、法律とのつき合いは切っても切れない。Mental Health Act(精神保健法)がまず頭に浮かぶが、MCAが必要な場面にもしょっちゅう遭遇する。とくに、リエゾンやリハビリテーションの分野では、必要になることが多いと思う。</p><p>
MCAの施行以前は、財産に関する後見制度はあったが、社会福祉や医療に関する自己決定権については、common lawに基づいておこなわれていた。MCAのもとに、意思決定能力の定義やその(司法的な)評価の方法、適応範囲などが包括的に明文化された。また、Mental Health Actとの使い分けについても、はっきりと示された。</p><p>
MCAの基本5原則は下記のとおりである。</p>
<ul><li>Presumption of capacity(意思決定能力は、否定されないかぎり、存在すると推定する)</li><li>Maximising decision-making capacity(自己決定ができるよう可能なかぎりサポートする)</li><li>The freedom to make unwise decisions(非合理的な決定をする自由を有する)</li><li>Best interests(受益者の最大限の利益にかなう決定をおこなう)</li><li>The least restrictive alternative(受益者の権利や自由の制約が最小限にとどまる方法を選択する)</li></ul><p></p><p>
common lawとgood medical practice、基本的人権を念頭におけば常識と思われる事柄が並んでいるが、実際の医療や福祉、財産の保護等の面ではなかなかそのとおりの保護がおこなわれてこなかったことを考えると、こうして並べることに意味があるということはうなづける。</p><p>
施行後半年もたっているのに自信がないとはけしからんと言われそうだが、新しい法律ができても、現場でのアセスメントや対応は、これまでおこなってきたことと基本的に変わらないため、多少頭の中が混乱していてもあまり不自由しなかったとも言える。</p><p>
それにしても、法律用語はほんとうに厄介である。なにしろイギリスの法体系についての知識が怪しい上に、法律用語は苦手なので、あわててコンピュータに向かって基本的知識の復習をしなければいけないことなど、しょっちゅうである。(インターネットがなかったら、この検索ひとつとっても、 私の生活は、ものすごく大変なものになっていたに違いない。)</p><p>
ちなみに、10月に新しいMental Health Act 2007(精神保健法)の施行が控えており、こちらのほうは大幅なシステムの変更があるため、頭の切り替えだけでなく、精神科コンサルタントは再講習が必要になる。</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-77383779060628760512008-04-07T18:35:00.000+01:002008-04-07T19:03:37.177+01:00宣伝活動 私が勤務する、South London & Maudsley NHS Foundation Trust(略してSLaM)が、広報用のショート・フィルム「Maudsley's Mission - The Future in Mind」をYouTubeにアップした。<p>
<object width="425" height="355"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/-XxXIZ9M-fA&hl=en"></param><param name="wmode" value="transparent"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/-XxXIZ9M-fA&hl=en" type="application/x-shockwave-flash" wmode="transparent" width="425" height="355"></embed></object><p>
ひじょうにprofessionalに作られたフィルムで、研究と臨床をうまくリンクさせて、最先端の治療をおこなっている、素晴らしい病院に見える。</p><p>
政府が、患者に「選択」の自由を与える政策をとり、<a href="http://nozomiakanuma.blogspot.com/2006/11/50.html">Foundation Trust</a>として、Trust独自で収入を得る道を探ることが可能なcorporate NHSにとっては、こういった広報も、大切な「企業」活動のひとつになっていくのであろう。</p><p>
SLaMでは、今後もこういったマルチ・メディアの広報をすすめていく方針だそうである。SLaMのフィルム・カタログは<a href="http://www.slam.nhs.uk/about/videos.aspx">こちら</a>からどうぞ。 </p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-91999358638116527882008-04-01T21:57:00.001+01:002008-04-01T22:11:35.253+01:00エープリル・フール前日 昨日の夜8時頃、1通のメールが届いた。<p></p><blockquote>
…we are pleased to inform you that we have accepted it for publication in Journal of xxx…</blockquote><p>
そう、先日論文を再々投稿した学術雑誌の編集長から、論文を受理しましたというメールであった。</p><p></p><p>
やった!と喜んだが、すぐに「まだ4月1日になってないよね」と思ってしまったのは、この論文のここまでの道のりを振り返れば、無理もないことなのだ。側頭葉てんかん患者における記憶検査と脳画像検査に関する研究の論文なのだが、最初の原稿を書き始めてから足掛け5年、あちこちの雑誌に嫌われ続けてきた。不受理の返事を受け取るたび、この仕事は日の目を見ないのではないかと思うことがしばしばであった。それでもここまでしぶとく粘ってきたのではあるが。</p><p>
今回の雑誌も、すべり出しは最悪だった。投稿したのが昨年の4月下旬。途中、査読者の選定に手間取ったとかで、最初の査読結果が届いたのが5ヶ月後の9月。4年かかって初めて「不受理」と書いていない返事がきたと喜んだのも束の間、届いた査読者(2人)からのコメントを見て、言葉を失った。査読者1からのコメントが60点ある。(ちなみに、査読者2からは6点。)「こんなにコメント書いたら、これだけで総説が書けるでしょう」と突っ込みを入れながらも、頭をひねりにひねってコメントに応え、なんとか再投稿にこぎ着けた。ところが、さらにコメント付きで帰ってきて(査読者1からのコメントは合わせて64点になった)、追加の解析をやって再々投稿。</p><p>
もともと長い論文だったのが、コメントに添って改良を加えたらさらに長くなり、最終稿は引用文献が84にのぼる、59ページ(本文だけだと29ページ−原稿用紙ではありませんが)の大論文になってしまった。 改訂作業中、「こんな長い論文、誰が読むのだろうか」と共著者とぼやいたが、 64もコメントをくれた査読者は隅から隅まで読んでくれたのだから、最低1人はきちんと読んでくれたのはまちがいない。</p><p>
この「大」論文が5年がかりで受理にこぎ着けた一方で、去年の夏にあまり苦労もせずに書いた論文は、マイナーな訂正を加えただけで受理され、すでに雑誌のwebsite上で公開されている。論文のテーマも雑誌の種類もまったく異なるので、単純に比べられるものではないとはわかっているのだが。それでも、今年はこれで2つめの受理なので、ここまではなかなかいいペースできている。</p><p>
おっと、今日は4月1日なので、やたらなことは口にしないほうがいいのかもしれない。
</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-57389017378956564822008-03-29T19:18:00.001+00:002008-05-04T22:48:57.494+01:00Gyrotonic® Apprentice Trainer 最近、履歴書に新しい肩書きが増えた。「Gyrotonic Apprentice Trainer」という。ちなみに、Professional Qualificationsではなく、Personal Interestsの項目に入っている。<p>
Gyrotonicというワークアウトには以前から興味はあったのだが、ふと思いたって、家から一番近いスタジオに行ってみたのが去年の夏。あっという間にはまってしまい、以降、毎週2回、1時間のone-to-oneセッションに通いつめることになった。</p><p>
Gyrotonicというのは、Pulley Tower(滑車式のウェイトを使用したケーブルとストラップのついたタワー)とHandle Unit(コーヒー・ミルのような装置のついたベンチ)と呼ばれる器具を使ったエクササイズである。</p><p>
<a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjrDeIZSOx0acLXZDEoX03k0Oua3lZXeIexqRBlxgcsOwrGtPy5XE2F7ytuG-yR3cbInzlH2wZLhgst6A4OdMKoqk0Wi2ur4yu-kqVvBvAPvafK7i_mWiKUOTnTegLVQnSC_ZRyiw/s1600-h/cherie.jpg"><img style="display:block; margin:0px auto 10px; text-align:center;cursor:pointer; cursor:hand;" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjrDeIZSOx0acLXZDEoX03k0Oua3lZXeIexqRBlxgcsOwrGtPy5XE2F7ytuG-yR3cbInzlH2wZLhgst6A4OdMKoqk0Wi2ur4yu-kqVvBvAPvafK7i_mWiKUOTnTegLVQnSC_ZRyiw/s400/cherie.jpg" border="0" alt=""id="BLOGGER_PHOTO_ID_5196642683062217010" /></a></p><p>
</p><div style="text-align: right;"><span style="font-size:85%;">私の先生のCherie (http://www.thethirdspace.com/bi/)</span></div><p></p><p>
</p><p>
一見、中世の拷問具に見えなくもない器具を使い、ダンス、水泳、器械体操、ヨガ、太極拳などの動きを取り入れた、立体的・回旋・らせん状の動きを行う。</p><p>
全身のストレッチ、ワークアウトとしてもすぐれものだが、それよりも、セッションが終わったときに、頭の中が空っぽになり、気分が軽やかになるところが気に入っている(勝手に、mental stretchingと呼んでいる。)</p><p>
セッションを重ねていくうちに、もっとGyrotonicについて知りたくなった。しかし、マニュアル本やDVDの類はいっさい門外不出。知識を深めるには、トレーナー養成コースに行くのが(ほぼ) 唯一の方法である。トレーナーになる気はないのだが、それしか方法がなければ仕方あるまい。</p><p>
というわけで、まずは1月にロンドンで、6日間の準備コースを受けた後、2月に東京で、12日間の養成コースを受けた 。このコース、途中に1日休みがあるだけで、連日5-6時間のトレーニング。こんな運動漬けの生活なんて、大学の部活の合宿以来、20年ぶりであった。半分くらいの年齢の人たちに混じってのトレーニングは厳しいものがあったが、ぎしぎしと叫びをあげる体をだましだまし、なんとかコースを無事に修了し、Apprentice Trainer(見習いトレーナー)のお免状をもらった。</p><p>
ひとつ達成すると、欲が出るものである。ロンドンに戻り、筋肉痛から開放されたら、せっかくここまでやったのだからトレーナーの資格をとろうと、急に気が変わった。</p><p>
Certified Trainer(認定トレーナー)になるためには、1年以内に60レッスンをこなし、さらにもう2つのコースに行く必要がある。</p><p>
本当に最後までたどり着けるかどうかは心もとないが、見習いトレーナーとして、週末に細々とレッスンを始めたところである。</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-21953825265426827042008-02-18T15:18:00.001+00:002008-02-18T15:47:34.419+00:002.18<b>我々は福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医の無罪を信じ支援します。<p></p></b><p>
</p><p>
昨年に続き今年も、Yoshan先生が「新小児科医のつぶやき」で<a href="http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080218">2.18企画</a>を立てられている。ちなみに、昨年の2月18日に際しては、私は<a href="http://nozomiakanuma.blogspot.com/2007/02/blog-post_18.html">こんなこと</a>を書いていた。読み返してみると、隔世の感がある。</p><p>
「福島大野病院事件」の裁判の記録は、毎月の公判の<a href="http://lohasmedical.jp/blog/2008/02/post_1066.php#more">傍聴記</a>がネット上にアップされるごとに、目を通している。証人たちの陳述やマスコミの報道を読むと、時に、検察側と弁護側との間の溝の深さに愕然とし、やりきれない思いを感じることがある。それと同時に、 日本を離れ、海外で医療に携わる身としては、誠実な医療行為の結果をもとに刑事告訴されることはありえない環境の中で仕事ができることのありがたさを、再認識することもある。
</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-75368251978475367992008-01-01T19:58:00.002+00:002008-02-11T12:57:47.361+00:00新年のごあいさつ<a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEic_RhUh5v8S73dNdlzyJyGB15KDXUveAVEpPRpVl3zyD_tGDnVtQw1ScyjgrlBYMPHM1E_bxPM1APS6xzZ_RzhF1CxYb-uzeCxcpAD2xu5xartnileksUDbqrYJ4XbH4Qufi7mzw/s1600-h/2008nenga32lw2-2.jpg"><img style="display:block; margin:0px auto 10px; text-align:center;cursor:pointer; cursor:hand;" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEic_RhUh5v8S73dNdlzyJyGB15KDXUveAVEpPRpVl3zyD_tGDnVtQw1ScyjgrlBYMPHM1E_bxPM1APS6xzZ_RzhF1CxYb-uzeCxcpAD2xu5xartnileksUDbqrYJ4XbH4Qufi7mzw/s400/2008nenga32lw2-2.jpg" border="0" alt="" id="BLOGGER_PHOTO_ID_5165705778959002882" /></a><p>
</p><div style="text-align: right;"><a href="http://www.loftwork.com/user/3233/"><span style="font-size:85%;">mojuni@loftwork</span></a>
</div><p></p><p>
まったくお正月気分を感じないまま、2008年が始まってしまいました。</p><p>
2007年は、私にとって、しんどいながらも我慢して、ようやく次へのステップのための光が見えかかってきたという年でした。</p><p>
コンサルタントとして2年目を迎え、日々のルーティンに埋没せずに、チャレンジを続けなければ と気負っていたのですが、1年が過ぎてみたら、チャレンジのほうが寄ってきてくれて、心配は杞憂でした。メインの仕事のPAMSというチームは2年目に入り、マネージメントサイドとの蜜月時代は終わり、厳しい数的目標をクリアすることが求められるようになりました。いかにサービスの質を下げずにマネージャーたちの要求に応えるか、チーム・リーダーとともに頭を絞る毎日でした。また、12月からは、Assertive Outreach Serviceというチームに週1日関わっています。サービスの対象となる患者さんがPAMSとは異なるため、仕事のスタイルを変えなくてはいけなくなりました。</p><p>
NHSの財政難は悪化するいっぽうで、私の所属するNHSトラストでも「サービス再編計画」が着々と進行中です。計画は猫の目のようにくるくると変わり、いろいろな噂が飛び交う中で仕事をするのは、精神的に落ち着かないものでした。しかしいっぽうで、こういった厳しい状況の中でも、 優先順位をつけて、意味のある新しいモデルを作るべく知恵を絞る同僚たちの中に、これまでに新しいものを生み出してきたイギリスの伝統を見る思いがしました。もっともこれは裏返すと、作っても改良せずにすぐに捨ててしまうという悪い伝統でもあるので、 もったいないとも思いましたが。</p><p>
メインの仕事が落ち着かない中で、サブの仕事として、ロンドン在住の日本人を対象にした外来と、てんかんの精神科的問題を主に診る外来を始めました。私がずっと興味を持ち続けてきた、あるいは私だからこそできるテーマの外来を持つことができたのは、仕事への意欲を高めてくれるだけでなく、仕事の内容のバランスを保つ上でも、本当によかったと思います。始めたばかりで大変なことも多いですが、今年はこれらを軌道に乗せていきたいと思っています。</p><p>
もちろん、仕事ばかりしていたわけではありません。イギリスに来てしばらくは、サルサに凝り、よく踊りに行っていたのですが、 ここ数年、踊ることへの情熱はすっかり冷めていました。昨年秋に、Tango fireというパフォーマンスを見て、タンゴに魅せられて、タンゴのレッスンを始めました。 ダイナミックで自由なサルサに比べると、タンゴの動きはひじょうに 繊細かつ厳格で 、初めの頃はただ前に進むのにも苦労するというありさまでした。初心者向けのコースが終わり、ようやくフォローのしかたが少しわかるようになったところです。今年はミロンガにデビューするのが目標です。</p><p>
ロンドンに来てから、もうすぐ丸8年になります。日本に一時帰国するたびに、浦島太郎のような気分になります。臨床の仕事を始めてからは特に、英語が少し上達し、英語的な論理で動くことが増えたせいか、自分自身の一部が少しずつ「英国人化」していくように感じ、複雑な思いがすることがあります。けれど、ここに住んで仕事をしていく以上、これは止められないことなので、多民族・多文化都市ロンドンで、World citizenとしての生き方を模索していこうと開き直っています。</p><p>
みなさまにとって、かけがえのない、素晴らしい年になりますよう、心からお祈りします。</p><p>
2008年元旦
</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com2tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-16494159702696366512007-12-31T19:08:00.000+00:002007-12-31T19:18:27.603+00:002007年最後の数時間 早いもので、あっという間に今年最後の日になってしまった。年越しを数時間後に控え、年賀状(年賀メール)も書いていない。友人宅での今夜の年越しパーティに持っていくサラダだけはなんとか作ったものの、お正月料理の準備など、当然していない。(明日の朝はいつもどおり、パンと紅茶である。)部屋はいつも通り散らかっているし、たまった書類仕事は、大掃除の予定と一緒にこのまま年越しである。なんていったって、5時まで普段通りに仕事をしていたのだから。<p>
気がついたら、最後にブログを更新したのは2ヶ月半も前だった。こんなに長いこと放っておくつもりはなかったのだが、9月から立て続けに新しい仕事が始まったり、本業以外の仕事に時間がとられてしまい、なかなかブログまで辿り着けなかった。<p>
9月から、本来の精神科リハビリテーションの業務以外に、2つの異なるクリニックを週に1セッションずつ始めた。どちらも以前から準備していたのだが、偶然に、同じ時期に始めることになった。<p>
10月と11月は、たまたま、論文の投稿や再投稿のための準備が重なった。研究費の申請などというおまけまでついてきた。<p>
12月からは、青天の霹靂で、これまでの仕事に加えて、週に2セッション、Assertive Outreach Service(AOS)の仕事がまわってきた。(このサービスについては、稿を改めて書きます。)ついでに、ひどい風邪もひいた。<p>
新しいことを始めるのは決して嫌いではないが、始める前や始めてすぐの頃につきまとう不安感は嫌いである。慣れるまでの間、精神的疲労が普段の2倍、3倍になるのは、さらに重荷である。そんな調子だったので、毎日仕事が終わる頃には、ものを書くためのエネルギーはどこにも残っていないという状態になってしまった。<p>
不思議なもので、いったん間隔があいてしまうと、書こうかなと思っても、そこから実際に書き始めるまでの閾値がやたらに高くなってしまった。次の週末こそと思っても、週末になるとついつい他のことに目が向いてしまう。(こんな状況なのに、ジムに通い出したり、タンゴを始めたりしたのだから、しょうもないといえばそのとおりなのだが。)<p>
年も変わることだし、やっぱり締めだけはしておこうかと、ようやくコンピュータの前に座っているのである。<p>
この1年間、読んでいただき、どうもありがとうございました。こうして書いていく上で、私自身の知識が増え、理解が深まっていくのは、楽しいことです。また、このブログを通じて知り合った方達と直接あるいはメールを通じて交流できたことも、素晴らしい経験でした。来年もまた、細々とながら、書き続けていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-19474098208678203192007-10-15T23:09:00.000+01:002007-10-15T23:28:16.332+01:00Dr Crippen is back! Dr Crippenが、約2ヶ月半の充電期間を終えて、「NHS Blog Doctor」を再開した。<p>
Dr John Crippenは、NHSで働く上級家庭医で、イギリスで一番有名な医療系ブログである「<a href="http://nhsblogdoc.blogspot.com/">NHS Blog Doctor</a>」を書いている。</p><p>
毎日更新される(時には1日に2回以上)通常記事の内容は、NHSや医学教育など、医療全般にわたる。政府の医療政策に批判的で(批判的でない医師はあまりいないのだが)、政治家や政府の方針に従う高名な医師たちに対し、舌鋒鋭く、容赦のない意見を展開する。</p><p>
MMC/MTAS騒動の際に、MTASのセキュリティ・ホールに関する情報を最初にキャッチし、Channel 4に情報提供したのは、Dr Crippenであった。</p><p>
時に、医師以外の特定の職種(Nurse Practitioners/Nurse ConsultantsやMidwives)に対する過激な批判や意見表明をするため、 特に看護師や助産師の中には、アンチDr Crippenも少なからずいる。</p><p>
週に1度更新される「Dr Cippen’s Diary」は、彼の家庭医としての日々のスケッチで、通常記事とはまったく異なる趣の日記である。</p><p>
毎週末に掲載されるThe BritMedsは、その週にインターネットに書き込まれた医療に関する記事(主にブログの記事)を紹介している。医療に関してどんなことが関心を持たれているのかがよくわかる、ユニークな企画である。また、ここからおもしろそうなブログを探すことができて、有益でもある。選択の基準は、医療に関係していることだけなので、紹介されるブログの筆者は、医師にかぎらず、他の職種の医療関係者から非医療関係者まで、いろいろである。Dr Crippen自身に関する批判記事もきちんと取りあげているのが、潔い。</p><p>
過去の記事があまり親切に分類されていないため、参照しづらく、初めは彼が何を書いているのか、まったくわからなかった。それでも、しばらく我慢して読み続けていたら、Dr Crippen’s Worldがだんだんに理解できるようになった。このブログのおかげで、私のイギリスの医療に関する知識や洞察は、深まった。いつもDr Crippenの主張に共感できるわけではないが、眉をひそめたくなるような記事であっても、私なりに考えていく上での材料になり、それはそれで興味深い。</p><p>
充電期間を経たDr Crippenが、これからブログをどのように展開していくのか、楽しみである。
</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-34938807699363776892007-09-23T22:28:00.000+01:002007-09-23T22:32:45.723+01:00休暇最後の日 2週間の休暇も今日が最後である。明日からのことを考えて、朝からなんとなく落ち着かない。<p>
こちらのコンサルタントは、1年目は、年間32日の有給休暇(5年勤続すると少し増える)と、3年間で30日の研究休暇がある。年平均で8週間になる。私の職場では、有休は最大5日までしか翌年に持ち越しできないので、年間、最低でも27日(5週間ちょっと)の休暇があることになる。日本の「常識」から考えると想像もつかないのであるが、休暇があるということは、当然、全部使い切るということを意味する。</p><p>
休暇の前は、「Have a lovely holiday!」と言って、笑顔で送り出してもらえる。休暇と大事な会議が重なっても、「休暇中だから悪いけど出られない」と言うだけでおしまいである。休暇を取るのは当然の権利なので、誰も文句を言ったりしない。(そのかわり、参加者全員の予定を合わせるのがものすごく大変になったりする。)</p><p>
職業倫理や習慣の違いと言ってしまえばそれまでだが、他の習慣同様、日本式が抜けきれないと、休暇をとるのも簡単ではない。去年は、休暇なんてなければいいと思うほど、休暇を取るのに苦労した。私は新米コンサルタント、チームは立ち上がったばかりということもあり、すべてが気掛かりで、なかなか休む気になれなかった。</p><p>
おまけに、実際休暇の日程を考え始めると、6週間も休むのはなかなか大変なのだ。会議はともかく、学会や研修会などの予定が入っていると、そこは休みを入れたくない。留守中、カバーをしてくれるコンサルタントの都合にも合わせなければならない。コンサルタントは、たいてい2人1組となり、お互いに研究日や休暇中のカバーをし合っている。2人のうちどちらかが残らなければいけないわけで、それが1人6週間ずつとなると、調整するのも簡単ではない。</p><p>
結局、去年は、初めて休みを取ったのが8月。その後もじたばたした挙げ句、3月の最後になって、駆け込みで休暇を使って、ようやく6週間の休暇をとった。(前年から5日持ち越していたので、また5日持ち越しになっている。)</p><p>
昨年度のappraisalでは、なかなか休暇を取れないとぽろっとこぼした。するとappraiserに、休暇をとらないならそれでもいいが、権利なんだからきっちり休むべきである、従業員に休暇をとらせないとトラストが訴えられてもおかしくないほどの、当然の権利なのだ、というようなことを言われた。そう、休暇は、イギリスでは労働者の権利なのである。(日本でも、法律上はそうなのだろうけれど・・・。)</p><p>
実際には、私が職場にいてもいなくても、世の中は同じようにまわっている。私が休暇でいなくても、大勢にはあまり影響ない。もし、コンサルタントが必要なことがあれば、同僚のMが呼ばれて、きちんと対応してくれるはずである。彼がいない時に、私が呼ばれるように。</p><p>
去年の秋、休暇から戻ってみて、留守中にまったく問題がなかったことを聞いて、ほっとしたと同時に、やや、寂しくなった。自分がいなくても誰も困らないというのは、気兼ねなく休む口実になるいっぽうで、エゴを傷つけるものなのだ。</p><p>
明日のメインの仕事は、たまったメールのチェックと、留守中に起こったことを把握すること。最悪の場合は、トラブル・シューティングに時間を取られるかもしれない。</p><p>
休暇を遠慮なく取れるのは嬉しいことだが、休暇最後の日の落ち着かない気分と、休暇明けの片付け作業だけは、いつになっても苦手である。
</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-62326709585220767452007-09-22T18:06:00.000+01:002007-09-23T18:12:14.862+01:00ロンドン育ち ニースにいる間、髪の毛がバサバサになってしまった。毎日使っているシャンプーとコンディショナーをわざわざ持っていったのにもかかわらず、である。それが、ロンドンにもどり最初のシャワーを浴びるなり、もと通りに落ち着いたので、ほっとした反面、いささか複雑な気分になった。私の髪はすっかりロンドンの水になじんで、ロンドンっ子になってしまったらしい。<p>
髪と肌の状態は、その土地の水によって、すぐに変わる。ロンドンに来たばかりの年は、髪はバサバサ、肌はカサカサと、大変なことになった。日本でも使ったことのあるメーカーの製品を買ってみたのだが、乾燥はひどくなるばかり。いくつか違う製品を使ってみて、半年近くたってようやく体に合うものを見つけたと思ったのも束の間、冬になったらまた悪化して、顔が乾燥して白い粉を吹く始末であった。結局、髪と肌が落ち着いて、とりあえず満足できる製品に出会うまで、約1年かかった。</p><p>
それから7年あまり。いろいろな製品に浮気をした挙げ句、オイル分がやや多めの敏感肌・いたんだ髪用の製品に落ち着いた。今回のニースは例外で、ヨーロッパを旅行しても、あまり困ることはなかったように思う。</p><p>
ロンドンっ子になりきってしまった私の髪や肌も、日本に戻ると、日本製のシャンプーや洗顔料を使って1回か2回、日本の水で洗うだけで、つるつる、さらさらの状態に戻る。いくら工夫してみても、ロンドンでは(というよりも、日本の外では)この状態はとうてい望めない。</p><p>
日本で2年ほど過ごしたことのあるイギリス人の知り合いは、反対に、日本にいる間は、髪の毛が頭にぺったり張りつくようになって困ったと言っていた。</p><p>
ロンドン育ちとはいえ、私の髪はやっぱり日本生まれなのである。</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-9165664413531685942007-09-14T23:54:00.000+01:002007-09-15T00:05:54.822+01:00バカンス 少し遅めの夏休みをとって、南仏のニースに行ってきた。<p>
私は、旅行すると、忙しくあちこち見て回ってしまい、休暇中にさらに疲れてしまうという悪い癖がある。そこで今回は、「何もしない休暇」をテーマに、とにかくだらだらしてリラックスすることに挑戦することにした。ニースは5年前に一度行ったことがあるので多少の土地勘もあり、あまり見るものもなく、天気がよくて食べ物もおいしく、みんながだらだらしているので、うってつけである。</p><p>
結果は、100%何もしなかったわけではなかったが、私にしてはまずまず及第点のだらだら度であった。</p><p>
珍しくておいしかったのは、ズッキーニの花の天ぷら。マーケットでは、花のついたままのズッキーニ(Courgette Trompette、トランペット種というらしい)が、あちこちのストールで売られていた。黄色がとても華やかできれいだった。</p><p>
<a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhMC2No5lcC62LQbFPdEaEWnuQM3VFhVhDGEj554x3LxgsIE6N68gTtJfI1VFfkX8llHZEpaWcBXFdTR7ZR39TU15YXZl04TK1DqrjLQ5mqBOMWRRuisVRItQeKu2Ng1T3UpCuRHQ/s1600-h/courgette.jpg"><img style="margin: 0px auto 10px; display: block; text-align: center; cursor: pointer;" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhMC2No5lcC62LQbFPdEaEWnuQM3VFhVhDGEj554x3LxgsIE6N68gTtJfI1VFfkX8llHZEpaWcBXFdTR7ZR39TU15YXZl04TK1DqrjLQ5mqBOMWRRuisVRItQeKu2Ng1T3UpCuRHQ/s320/courgette.jpg" alt="" id="BLOGGER_PHOTO_ID_5110198708138163810" border="0" /></a></p><p>
また、どこにでもローカル・ルールというのは存在するものだが、ニースのお約束をふたつ発見した。ワインはロゼ。食事のスターター(イタリアンのオリーブのようなもの)は、丸ごとのトマト。そこそこいいレストランに行くと、あらかじめ、テーブルにトマトがどんと置いてある。プチトマトだったり、普通の大きなトマトだったり。オーダーをすませると、食事はこのトマトから始まるのだ。</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-11575671.post-82764633614650958072007-09-02T19:34:00.001+01:002009-01-05T00:32:29.118+00:00麻酔科医賛歌 Amateur Transplantsが、6月のライブのDVDを発売した。<p>
<a href="http://www.amateurtransplants.net/">Amateur Transplants</a>は、2人の研修医(Dr Adam Kay & Dr Suman Biswas)からなるグループ。2005年に「Fitness to Practice」というアルバムを発表している。その中のLondon Undergroundという作品は、当時頻繁に行われていたロンドンの地下鉄のストライキを皮肉った歌で、ネット上で評判になった。</p><p>
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これは、Anaesthetists Hymnという歌。(Dr Biswasは麻酔科医である。)</p><p>
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ライブの一部は<a href="http://uk.youtube.com/profile_videos?user=psychomanagement&p=r">YouTube</a>で見ることができる。受け取り方によってはものすごく不適切な歌詞が多いので、ダークなユーモアの好きな方だけにお薦め。</p><p>
私は、彼らがいつか「Psychiatrists Hymn」を歌ってくれるよう、心密かに祈っている。</p>Nozomihttp://www.blogger.com/profile/07905349690034251274noreply@blogger.com0