Thursday, May 03, 2007

標準的発音–英語の発音2

 発音のクラスでは、Received Pronunciation(RP)と呼ばれる、イギリス英語の標準的発音を学習する。

 イギリスは、出身地や出身階級により、発音が違う。独特の発音は「アクセント」と呼ばれる。ちなみに、これは方言(dialect)とは違う。方言は文法や語彙の違いで、アクセントは発音の違いである。

 RPは長いこと、「正しい英語の発音」の地位を保っていた。RPは、地域特有のアクセントのない「標準的発音」であるが、もともとは、ロンドンからイングランド南部に住む、寄宿制の私立学校(public school)で教育を受けた人たちが使うようなアクセントが元になっているとされている。20世紀中頃までは、教育の高さを誇示するためにRPに「矯正」するのが普通だったらしい。また、BBCのアナウンサーたちはみなRPを話していたので、RPはBBC英語とも呼ばれていた。しかし1970年代以降、生来のアクセントを尊重する傾向が強まり、RPは「標準的発音」としての地位を失いつつあると言われている。BBCのアナウンサーも、最近では、強いアクセントで話すアナウンサーが多い。

 さて、このRP。単母音が12(短母音7、長母音5)、2音の母音(diphthong)が8、3音の母音(triphthong)が5ある。日本語には母音が5つしかなく、多少の音の違いに対して許容度が高い。私にとっての「ア(ー)」も、英語では4つもある。(/で挟まれているのが発音記号。太字の記号が「ア」の音を示す。)

 英語の子音は24あり、日本語では使われない音がいくつもある。私が「ル」と日本語で言うと、英語の/l/になったり/r/になったりする。'light'と'right'は違うのだが、カタカナ英語ではどちらも「ライト」である。

 英語の母音は、口唇の開き加減(ほとんど閉じた位置、半閉じ、半開き、大きく開く)と舌の高さ(上、やや上、中央、やや下、下)、舌の前後の位置(前、中央、後ろ)の3つの要素によって規定される。子音の発音には、口唇、歯、歯槽、硬・軟口蓋、口蓋垂(のどちんこ)、舌、声門といった器官が関与し、音によってどの器官をどのように使うかは異なる。これらの器官を正しく使いこなせるよう鍛錬するのが、発音クラスの意図するところである。

 体の筋肉同様、発音器官の筋肉も怠け者で忘れっぽい。常に鍛えておかないとすぐに怠けて、慣れ親しんだ母国語の発音用の筋肉の使い方に戻ってしまう。英語をたくさん話すと、口唇、舌や口のまわりの口輪筋が筋肉痛になるのは、よくあることである。

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