Friday, April 27, 2007

MTASその後

 MMCの迷走はその後どうなってしまったのだろうか、と思っている方がいるかもしれない。指導医たちが、MMCが予定通りに開始されるという前提のもと、研修の評価法を巡って議論しているかたわらで、研修医の選考を巡る迷走は、依然として続いている。

 MTASのチーフのProf Alan Cockardに続いて、4月5日には、MMCのNational Clinical AdvisorであったProf Shelley Heardが辞任した。保健相のPatricia Hewittは、ラジオのインタヴューで、ついに、研修医たちに対して謝罪の言葉を口にした。

 緊急見直し委員会が3月22日に発表した案により、応募資格を満たす応募者全員が、第1志望のポストの面接を受けられることになった。現在、新たな面接(ラウンド1Bと呼ばれている)の日程の調整をしている。ロンドンでは新たに5,000人を面接しなくてはならないとかで、面接場所や日程の調節に加えて、面接にあたるコンサルタントの確保におおわらわのようである。SLaMのコンサルタントのところにも、ロンドン・ローテーションのDeanからのメールがまわってきて、ボランティアで面接員を引き受けてくれるように呼びかけていた。

 British Medical Association(BMA)によると、34,250人が18,500の研修ポストに応募したとされている。15,750人が研修ポストにつけない計算になる。Department of Health(DH)は一貫して、そんなに職にあぶれる医師が出るわけがないと言い続けてきた。しかし、先日リークされた文書によると、DHは10,000人の研修医が研修ポストにつけないとみて、善後策を練っているらしい。政府のお得意の予測によると、この10,000人の多くは非英国/EUからの医師となるそうである。英国/EU出身で研修ポストにつけない医師はわずか500から1,300と推定し、優先して対策をたてるつもりでいるらしい。(つまり、非EUの人は知ったこっちゃないということである。)これだけでも問題ありなのだが、さらに、DHは、これらの研修医をVoluntary Service Overseas(VSO)を通じて、海外に派遣することを考慮しているらしい。VSOはボランティアで海外に行く医師のための組織であって、研修ポストの不足を補うものにはなりえないと思うのだが。

 British Medical Associationのアンケートによると、回答した648人の研修医のうち、4.5%の研修医がすでに海外からの仕事のオファーを受けており、55%は、もし研修ポストがとれなければ、海外にポストを求める、44%が医学以外の分野で仕事をさがすと回答している。非研修ポスト(スタッフ・グレードやトラスト・グレード)についてもよいと回答したのは、3分の1に過ぎない。

 MTASは、研修医の選考という本来の目的のためには、すでに無用のものと化してしまっているが、面接日程の調整や応募者への連絡には、これまで同様に使われていた。登録している応募者は、MTASのアカウントを持ち、パスワードで保護された個人のメール・ボックスを通じて、面接の日程や選考結果についての連絡事項を受け取る。

 ところが、先日、2つのセキュリティ・エラーが見つかった。ひとつは、MTAS内でメール・ボックスにアクセスすると、URLに2桁の数字が表示される。この数字を変更すると、パスワードがなくとも、他人のメール・ボックスの情報にアクセスが可能になるというエラーである。もうひとつは、ネットで出回ったある特定のURLを打ち込むと、MTASのサイト上に保存されていた、Foundation Training 1の応募者のリストにアクセスできるというもの。このファイルには、住所や電話番号、犯罪歴、sexual orientation、宗教といった個人情報が含まれていたという。どちらも、呆れて口も聞けなくなるほどお粗末なミスである。

 このセキュリティ・エラーは、新聞やTVで、派手に報道された。MTASのページは即座に閉鎖され、DHは、謝罪と言い訳の混じった声明を出した。

 MTASは現在、「厳重なセキュリティ・チェックのために一時的に閉鎖」されており、4月30日に再開されるそうである。しかし、今後の連絡はどのようにしてとるのであろうか。全員の面接の日程の調整が終わったわけではないと聞く。ラウンド1Bの面接は来週から始まるというのに。DHのお粗末な仕事に振り回される研修医たちが、ほんとうに気の毒である。

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