Sunday, June 17, 2007

心がつぶれるような

 MTAS/MMCに関して、2回続けて暗い内容のエントリーを書いたら、母が心配して、メールを送ってきた。そんなに落ち込んでいるように見えたのだろうか。

 確かに、このところ、気分はずっと低空飛行である。MTAS/MMCの問題と同時に、うちのNHSトラストのサービス削減計画(3年間かけて800万ポンド-約20億円、予算の5%以上-の削減)も進行中であるため、明るい話題はまったくない。

 前々回のエントリーを書いたあと、暗い話題に引きずられて、私自身が気分転換できなくなっており、悪循環におちいっていることに気づいた。MTAS/MMCの話題はしばらく棚上げにしたほうがよさそうだが、その前に2つだけ、関連した記事を紹介する。

 ひとつは、ジャーナリストのAngela PhillipsがGuardian紙に書いた「We need a national outcry(国をあげて声を上げるべきだ)」と題したブログ。彼女の姪のJacquieの体験が紹介されている。

 Jacquieは、ロンドンで働く精神科の研修医で、2歳の子どもがいる。Lodon/KSS(ロンドン、ケント州、サリー州、サセックス州を含む研修ローテーション単位)の期間限定のポストをオファーされたが、受けることができない。ぎりぎりまで研修先を知らされないため、仕事と家庭・子育てとを両立できるかわからないからである。また、この期間限定のポストは、期間修了後の進路の保証がなく、彼女が研修を最後まで修了できるかも、まったくわからない。

 もうひとつは、5月のBBC Question Timeで、客席から保健相Patricia Hewittに向けて「今すぐ辞めるべきだ」と叫んだDr Philip Smithの手記である。これは、Doctors.net.ukという、医師専用のサイトに投稿されたものを、本人の了承を得て、ある医師が自身のブログに転載した。

 彼は、Guardian紙のに、全国紙上でジャーナリストから人格攻撃された時も、沈黙を守った。(ジャーナリストは後に、批判を受け、謝罪した。)しかし、MTASの結果が発表され、初めて沈黙を破った。

 手記の中で、彼は、自分は運よく第1希望のポストを得たが、だからといって、気分が晴れるわけではないと書いている。むしろ、その逆である。ポストはあるものの、どこの病院で研修するのか、ぎりぎりまでわからない。その上、まわりには、優秀な研修医ながら、理不尽にもポストを得られなかった友人たちが多くいる。

 個人の体験は、新聞の一般報道記事とは別の切り口から、問題の深さ、悲惨さを炙り出す。心がつぶれるような思いである。

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