Monday, April 23, 2007

帰国売りの本

 日本語の本を8冊、帰国売りで購入した。しめて11ポンド(2600円)。悪くない買い物であった。

 「帰国売り」というのは、イギリス滞在を終えて日本に帰る人たちが、不要品を処分するのに売りに出すことをいう。日系のスーパーマーケットに設置してある掲示板や、インターネット上の掲示板に広告が出ている。私は、UK Mumbo and JumboMixBなどを定期的にのぞいている。

 受け取りに行く手間を考えると値段が割高だったり、人気があるものはすぐに売り切れてしまう。それでも、7年の間に10回近く、帰国売りで買い物をした。炊飯器や変圧器、プリンター、バランスチェア、組み立て式ラック、旅行のガイドブックなどである。

 本は、なかなか難しい。1-2冊だと、わざわざ受け取りに行くのは面倒。いいと思うと値段が不満だったり、すぐに予約済みになったり。

 今回は、8冊もいいと思うものがあったのと、受け取り場所が歩いて行ける距離だったので、早速連絡したら、運よく、8冊とも手に入れることができた。

 日本語の本は貴重である。日系の書店で新品を買うと、日本の正規の値段の3倍近くする。アマゾンで買って送ってもらうという手もあるが、送料がばかにならない。日系の古本屋もあるが、あまり安くない。

 ふだんは英語の本を読んでいるが、さすがに日本語を読むほど早くは読めない。体調が悪いとき、頭がうまく回らないとき、気分が沈んでいるとき等は、読むスピードががくっと落ちる。ときには、頭が英語をまったく受けつけなくなる。そんなとき、日本語の本は、いい。活字大好き少女(今では活字大好きおばさん)は、本を読んでさえいれば、幸せな気分になれるのだ。

 イギリスに来た初めの年、日本が恋しくなるどころか、ロンドン生活を最大限に楽しんでいた。ところが、秋口、突然のホームシックに襲われた。気分はどんどんうしろ向きになるばかり。どうしようもなくなり、ある日、ジャパンセンターに行き、値札など見ずに文庫本を10冊ほど買いあさり、数日間、部屋にこもって本を読み続けた(仕事には行ったけれど)。これくらいで解消できるホームシックなのだから、かわいいものである。

 日本に帰るたびに、スーツケースに入るだけ文庫本を運んでくるのだが、1-2ヶ月で全部読み切ってしまう。非常用に取っておかなくてはと思いつつ、なかなか自分を律しきれず、ついつい手がのびてしまうせいである。いざ必要になった時に後悔したことは、数知れない。今回の8冊は、大事に取っておかなくては。

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