枯草熱(こそうねつ)
イギリスでは、今の時期がHay feverのピークである。Hayはいわゆる干し草として使われる牧草のことで、Hay feverは「枯草熱」と訳されるが、早い話が花粉症(Pollinosis)である。
花粉症のルーツをたどると、1819年、イギリスのJohn Bostockによる、Hay feverと呼ばれる夏風邪様症状(牧草の干し草と接触する人に起こる、春・秋の鼻症状、喘息、流涙など)の報告が、初めての臨床報告であるそうだ。1873年には、同じくイギリスのCharles H Blackleyが、「枯草熱あるいは枯草喘息の病因の実験的研究」を著し、枯草熱がイネ科植物(牧草)の花粉により生じることを実証した。以後、枯草熱は花粉症と呼ばれ、Blackleyは「花粉症の父」と呼ばれるようになった。(詳しくはWikipediaと3443通信をどうぞ。)
幸運なことに、私は、日本にいる間はスギ花粉症とは無縁だったのだが、ここ数年、この時期(5月から7月)になると、目のかゆみや流涙に悩まされる。
イギリスの花粉症は、90%がgrass(イネ科植物である牧草)の花粉が原因で、25%がbirch(カバ)によるそうである。花粉飛来のピークは、grassが6-7月、birchが4-5月である。
私の場合は、いい天気が続くと、ほぼ毎日のように、起床時に涙が流れてきて、目がしょぼしょぼする。あまり重症ではないので、大抵の場合は、朝起きてすぐに抗ヒスタミン剤を1錠飲めば、そのうちに症状は治まり、仕事をしているうちに次第に忘れてしまう。めんどくさがり屋なので、暑ければ花粉など気にしないで窓を開ける。(エアコンがないので、そうしないとやってられない。)具合が悪くなったら、午後に抗ヒスタミン剤をもう1錠飲めば、なんとかなる。花粉予報などもあるようだが、まったく見たことがない。
3月にもなると、薬屋さんの店頭には、抗ヒスタミン剤がずらりと並ぶ。これらは俗に「Hay fever tablets」と呼ばれ、塩酸セチリジンやロラタジンなどの第二世代抗ヒスタミン剤で、7錠入りのものが1箱2ポンド程度で買える。ブーツやスーパードラッグのようなチェーン店では、時々「2 for 1 / Buy 1 & get 1 free (1箱の値段で2箱買える)」のセールをしているので、私はここぞとばかりに買いだめをする。他にも、目薬や点鼻薬も売っている。なぜか、マスクはお目にかかったことがない。
うちのチーム・リーダーのJは、今年は特に重症のようで、家庭医に行ってステロイドの注射をしてきたと言っていた。チーム秘書のJも、このところ花粉症のせいでぱっとしない、とこぼしていた。ピークはせいぜいあと1ヶ月。もうちょっとの辛抱である。
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