Tuesday, April 01, 2008

エープリル・フール前日

 昨日の夜8時頃、1通のメールが届いた。

…we are pleased to inform you that we have accepted it for publication in Journal of xxx…

 そう、先日論文を再々投稿した学術雑誌の編集長から、論文を受理しましたというメールであった。

 やった!と喜んだが、すぐに「まだ4月1日になってないよね」と思ってしまったのは、この論文のここまでの道のりを振り返れば、無理もないことなのだ。側頭葉てんかん患者における記憶検査と脳画像検査に関する研究の論文なのだが、最初の原稿を書き始めてから足掛け5年、あちこちの雑誌に嫌われ続けてきた。不受理の返事を受け取るたび、この仕事は日の目を見ないのではないかと思うことがしばしばであった。それでもここまでしぶとく粘ってきたのではあるが。

 今回の雑誌も、すべり出しは最悪だった。投稿したのが昨年の4月下旬。途中、査読者の選定に手間取ったとかで、最初の査読結果が届いたのが5ヶ月後の9月。4年かかって初めて「不受理」と書いていない返事がきたと喜んだのも束の間、届いた査読者(2人)からのコメントを見て、言葉を失った。査読者1からのコメントが60点ある。(ちなみに、査読者2からは6点。)「こんなにコメント書いたら、これだけで総説が書けるでしょう」と突っ込みを入れながらも、頭をひねりにひねってコメントに応え、なんとか再投稿にこぎ着けた。ところが、さらにコメント付きで帰ってきて(査読者1からのコメントは合わせて64点になった)、追加の解析をやって再々投稿。

 もともと長い論文だったのが、コメントに添って改良を加えたらさらに長くなり、最終稿は引用文献が84にのぼる、59ページ(本文だけだと29ページ−原稿用紙ではありませんが)の大論文になってしまった。 改訂作業中、「こんな長い論文、誰が読むのだろうか」と共著者とぼやいたが、 64もコメントをくれた査読者は隅から隅まで読んでくれたのだから、最低1人はきちんと読んでくれたのはまちがいない。

 この「大」論文が5年がかりで受理にこぎ着けた一方で、去年の夏にあまり苦労もせずに書いた論文は、マイナーな訂正を加えただけで受理され、すでに雑誌のwebsite上で公開されている。論文のテーマも雑誌の種類もまったく異なるので、単純に比べられるものではないとはわかっているのだが。それでも、今年はこれで2つめの受理なので、ここまではなかなかいいペースできている。

 おっと、今日は4月1日なので、やたらなことは口にしないほうがいいのかもしれない。

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