コンサルタントは今日も電車に乗って
私のチーム、PAMS(Placement Assessment and Management Service)は、約170人の患者を担当している。チームの名前からわかるように、全員が「placement(滞在型施設)」で暮らしている。placementには、施設の種類やケアのレベルによって何種類かに分けられるが、PAMSが担当しているのは、病院型の施設で長期の医療ケアを受けている患者と、スタッフが24時間常駐するレジデンシャル施設で社会的ケアを受けている患者である。あまり重くない犯罪歴があり、mediumまたはlow secureの司法病棟にいる患者も、数人いる。
ランベス区は、このような滞在型施設にいる患者の数がイングランドで一番多い。ランベス区内にも施設はあるものの、数は足りず、区外の施設に頼らざるを得ない。ロンドンは地価も物価も高いため、施設は郊外、あるいはもっと離れた、カントリー・サイドに多くなる。
170人の担当患者のうち、「ランベス区外」の施設にいる患者が、約70人強を占める。彼らのケアに関わる費用は、施設がどこにあろうと、ランベス区の社会福祉事務所、または、ランベス区をカバーするPrimary Care Trustが払っている(funding provider)。彼らの医療ケアは、入院している病院、または施設のある地域の精神医療チームが担当し、PAMSは、これらの施設や地域の医療チームによるケア、および、施設による社会的ケアが、患者の医学的・社会的ニードを満たしているかをモニターする役目を担っている。
遠隔地の施設に長期的に滞在してケアを受けなくてはならないような、慢性かつ重度の精神疾患のある患者のケアの場合、、半年に一度、患者に関わる担当者が一同に会し、CPA (Care Programmed Approach) meetingと呼ばれる、患者の治療の進み具合を振り返り、ケア・プランを見直すミーティングを開く必要がある。医療を担当しているチームが主催し、私たちはfunding providerの代表として参加する。
医療ケアを担当しているのではないため、必ずしも医師が出席する必要はなく、通常は、チーム内の担当者(看護師、ソーシャル・ワーカーまたは作業療法士)が出席することが多い。
しかし、私は、PAMSの初年度の優先事項として、ランベス区外のすべてのCPA meetingに、担当者と医師1人がペアで出席するという方針をたてた。そのほうが、患者のケアの全体像をつかみ、今後の方針を立てるのに役に立つと考えてのことである。
医師1人とはいっても、全部で2人しかいない。私以外のスタッフ・グレートの同僚には、ランベス区内にいる患者に関する仕事に時間を割いてほしいので、いきおい、私が遠距離のCPA meetingに行くことが多くなる。3月半ばより、私は毎週1回のペースで、日帰りの小旅行をしている。
今日は、北イングランドの都市NewcastleからEdinburghの方にある、Morpethという街まで出かけてきた。スタッフ2人が往復7時間かけて、1時間のCPA meetingに参加する。不経済と言えないこともないが、現状の施設の供給事情からすると、いたしかたない。
そんなわけで、窓からのどかなイングランドの田舎の風景を眺めながら、電車に揺られるのが、私の仕事の一部となっている。
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