SLaMと私のD-Day
さて、8月1日のD-Dayから10日がたった。MTAS/MMC関連の話はまったく聞こえてこなくなり、肩すかしを食ったような気分である。各NHS Trustの事前の準備がよかったせいなのか、それとも、嵐の前の静けさか。
SLaMでももちろん、contingency planを整えた。SLaM全体に割り当てられた研修医のうち、約3分の1が、これまでにSLaMで仕事をしたことがある(つまり、システムについての知識がある)研修医だった。そこでまず、これらの研修医たちを、4つの区に偏りがないように配分し、残りのポストを、SLaMでの経験がまったくない研修医(および、精神科の経験がまったくない研修医)に、やはり、4つの区でバランスがとれるように割り振った。10前後のポストがまだ埋まっていないのだが、これらは、7月末までSLaMで研修して、ラウンド1でポストがとれなかった研修医たちに、3ヶ月間のlocumポストとしてまわされた。
ランベス区SLaMでは、30人の研修医(3人のlocumを含む)のうち、12人がSLaMでの経験があった。10人は、精神科の経験がない。残りは、何らかの経験はあるが、少なくともSLaMのシステムを知らない研修医たちであった。
一番の問題は、時間外の当直業務である。昨年までは、研修医のローテートして間もない時期は、SLaMでの経験があり、年次が上の研修医を優先的に当直に組み込んでいた。しかし、今回は、なにせ数が数なので、経験の有無を考慮して宿直表を組むなどという悠長なことはできなかった。
そこで、臨床部長のJは、SLaMや精神科での経験をまったく無視して当直表を組み、オン・コールのコンサルタントが、普段よりも積極的に研修医をサポートするという方法をとることにした。(積極的にといっても、とりあえずextended daysと夜勤帯の開始時に当直医に電話を入れて様子を確認し、いつでも電話するように念を押し、電話が来たら即座に顔を出す程度であるが。)
また、contingency planとして、臨床部長Jはもともと、8月1日の夜は、みずから病院に泊まり、万が一に備える予定を立てていた。ところが、8月1日の宿直にあたった研修医は、ロンドンから遠く離れた地域から移ってくる人で、7月最後の週末になってもまだ、ロンドンで住むところが決まっておらず、途方に暮れていた。そこで、Jは8月1日には、病院に泊まるだけでなく、研修医のかわりに宿直業務も引き受けることになった。
そして、8月1日が来た。研修医たちは全員、無事に、8月1日に顔を出したらしい。新しい研修医たちはinduction(勤務開始にあたっての説明会)のために丸一日缶詰で、病棟からも地域のチームからも、研修医が一斉に消えた。かわりに、後期研修医とコンサルタントたちが、普段なら中期研修医のする仕事をした。どの研修医がどのチームに行くのかは、8月2日まで明らかにならず、コンサルタントたちはやきもきさせられたが、とりあえず、サービスはきちんとまわっていた。
Jは、宿直に備え、ILS(Immediate Life Support)の1日研修も受けたので、不安もなく(!)、十数年ぶりの宿直をそれなりに楽しんだらしい。
オン・コールのコンサルタントはどうだったかというと、先週のオン・コールだったRは、7月中に一度電話を受けたが、新しい研修医たちが来てからは、コールはなかったという。
そして、今週のオン・コールは私である!精神科の経験のない研修医があたっているときだけ、勤務時間の初め頃に電話を入れて、いつでも遠慮なくコールしてね、と念を押したのだが、これまでのところ、一度もコールがない。
静かなのはいいことだが、これだけ静かだと、少し気味が悪くなってくる。きちんと準備して、緊張しているうちは大丈夫ということだろうか。
それにしても、精神科の宿直が初めてだという研修医が、「初めてなので不安ですけど、『Maudsley Prescribing Guideline』を持っていますから、なんとかやってみます」などと、多少不安げな声で言うのを聞いていて、殊勝だなあと思ったり(仕事なんだから当然なのだが)、自分が初めて当直した時の緊張を思い出したりして、ほんわかした気分になった。まあ、呼ばれていないから、優しい気分でいられるだけなのだろうが。
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