ケンブリッジ
昨日、初めてケンブリッジを訪れた。ロンドンに6年半も住んでいるというのに、これまで行ったことがなかった。
ふらっと電車に乗って、ロンドンから日帰りで出かけるのにちょうどよい距離。ぶらぶらと街の中を歩いて、ケンブリッジ大学のあちこちのカレッジをのぞいて、マーケットをひやかすだけの、なんてことない日曜だったけれど、なんとも心地よく楽しかった。
たまたまAdvent(降臨節)にぶつかっていて、教会が閉まっていたり、特別行事で入れなかったりしたのは残念だった。キングス・カレッジの聖歌隊を聴こうと張り切っていたのに、こちらも、降臨節の特別コンサートのリハーサルのために、通常の日曜のコンサートはキャンセルされ、教会の中にも入れなかった。重ね重ね、残念。
お天気には恵まれたのだけれど、とにかく寒くて、ボートに乗っての川下りもおあずけ。春になってもう少し暖かくなったら、あらためて来なくてはと思った。
街の中を歩いていて気がついたこと。観光客も含めて、とにかく白人が多い。みんな、ポッシュ(上品)な英語を話している。ロンドンにいるとしょっちゅう見かけるような、病的な肥満の人がまったくいない。反対に、明らかに摂食障害の若い女の子がちらほらと目についた。見てくれがなかなかいい若い男性が目に入る確率は、気のせいなのか事実なのかはともかく、ロンドンより高かったように思う。なかなかの目の保養であった。残念ながら女性にまでは目がいかなかったので、女性の見てくれがいいのかどうかは、不明である。
明らかな路上生活者と思わしき人は、たった1人見かけただけ。普段私が仕事をしているランベス区と比べると、まったく別の国のようである。(ケンブリッジでもオックスフォードでも、アルコールや薬物、精神疾患等の問題がある人のための宿泊施設は、わざわざ市の中心から離れたところに作っているという話を、イギリス人の同僚から聞いた。)
2001年の国勢調査によると、ケンブリッジ・シティ(ケンブリッジ大学のある市)の人口は約10.9万人で、白人が89.5%を占める。ケンブリッジ大学の学生を入れてもこの数である。ちなみに、ランベス区の人口は26.6万人で、白人の割合が62.5%である。おまけで調べてみると、ブリクストンの中心部では、白人の割合は57.3%まで下がる。
構成人口にこれだけ差があって、かたやケンブリッジ大学を抱える市、かたやブリクストンとその近辺の物騒な地域を含む区。住民の教育・資格のレベルにもかなり差があるのだろうと思ったら、そうでもない。資格をまったくとっていない人(日本で言えば高校卒業の資格がない人)がランベス区で20.1%、ケンブリッジ・シティで16.2%。レベル4または5(教師や医療職などの専門職、シニア・レベルの管理職)の割合がともに41%程度。ブリクストンのデータはランベス区のデータとほぼ同じであった。(この分類では、ケンブリッジ大学の教授と資格を取ったばかりの専門技術者が同じカテゴリーに入ってしまうのだが、これ以上細かく分けても実利上の利益はあまりないのであろう。)
また、ケンブリッジは自転車が多い。休日でも多いと感じたので、平日はもっと多いのであろう。しかし、みんな、のんびりと自転車をこいでいる。ロンドンの街中にいるような、aggressiveでcompetitiveなサイクリストは見かけなかった。ロンドンの大きな通りを自転車で走っていると、常に緊張を強いられるし、いつの間にか攻撃的な気分になってくる。(1ヶ月自転車に乗って、私もすでにタクシーやバスの運転手と競争するようになった。)ケンブリッジのサイクリストが穏やかなのは、単に交通量の違いによるせいなのか、それとも、ストレスの総量が少ないせいなのか、知りたいところである。
そのようなことをつらつらと考えながら、そぞろ歩きを楽しんだ。
ケンブリッジのお土産とクリスマス・ショッピングを兼ねて、National Trustのお店で、キュートなトナカイを、マーケットでは、小さなクリスマス・ツリーを買った。
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